プラスネジとビットのお話

(1)プラスネジの生い立ちと特徴について

(2)プラスネジの普及理由について

(3)ビット製作の重要ポイントについて

(4)メッキ仕上げのネジ回し&ビットについて

(5)リセス(ネジ頭の凹み)とビットのマッチングについて

物と物とを締結するネジは自動車・電気製品・建設等には欠かすことの出来ない重要な部品の1つであることを日常において認識されたことがありますか?そして、数あるネジの中でも一般に多用されているネジはプラスネジではないでしょうか?

理由は簡単、マイナスに比べ“作業性の良さ”というメリットを持っているからです。

しかし、そのネジも締め付ける道具(工具)がなければ活用することが出来ません。その工具をドライバービットまたはプラ(木)柄付きドライバーと呼んでおり、先端軸装着使用する物をドライバービットまたは単にビットと呼んでいます。このページでは、そのネジとドライバービット(以後ビットと呼びます)について要約した機能と特徴を解説します。

(1)  プラスネジの生い立ちと特徴について

プラスネジは本来、ネジとビットの接触面積が小さく、着脱の途中でナメやすいというマイナスネジの欠点を改良するために生まれた物です。現在の規格になるまでには、マイナスネジの溝を直角にクロスさせただけのような物が使用されていたこともあります。現在のプラスリセスの規格は、オランダのフィリップス・スクリューが作ったもので、ネジ頭のリセス形状とビットの先端形状に違いを持たせ、ビットの先端を押し込めば、くさびの効果でネジを持ち上げられるようにしているのが特徴となっています。工場などでの大量生産を考えて、作業性を優先させた結果であると思われます。

作業性が良いため、フィリップス・スクリューは瞬く間に全世界に広まったのだが、同時に先端形状による問題点も広まった。その問題点とはプラスネジに大きな力を掛けようとしたときに誰でも気がつくビット先端の浮き上がりである。これを“カムアウト現象”と呼び、リセスの損傷やビット先端部の摩耗・変形を誘発する要因となる。この現象を解決するためにポジドライブスクリューやトルクス・スクリューなどが生まれたが、ネジの製造コストが高いなどの欠点があるため、未だフィリップス・スクリューの牙城を崩すまでには至っていません。このため、プラスネジの着脱に当たっては、何よりもまずビットの先端の浮き上がりに注意して作業をしなければならない。また、締めるときはともかく、ゆるめるときはネジが手前に出てくるのを逆らって押さえつけるわけだから手加減が必要になる。こうした問題点を持ちながらもフィリップ・リセス・スクリューが広まったのは大量生産のためにはとにかく締められれば良く、ゆるめるときのことを真剣に考えなくても良かったからだと思われます。

では、締め付け作業においてプラスネジにメリットはないかというとそうでもありません。一般的な六角頭のボルトと比較して、次のようなメリットがあります。

頭の外径を小さくできる。

頭の高さを低くできる。

着脱用工具の最大径が頭の最大径よりも小さくできる。

いずれも省スペースや軽量化に有効で、ネジ軸の延長線上にビットを通すための空間さえ確保できれば、あとはネジ
頭径とわずかなクリアランスしかない穴の奥などにもネジを配することが出来るのである。
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(2)  プラスネジの普及理由

プラスネジが普及する前はマイナスネジが主流となっていたが、マイナスネジにはプラスネジと比べてビットとの接触面積が小さく着脱時に頭をナメやすいこと。そして、ビットの先端がネジ頭の溝方向に逃げやすく、作業性が悪いことから世界的にプラスネジに移行していった。但し一般にM6以上のネジに該当するプラス“癸魁桧幣紊離螢札后淵優呼の凹み)を必要とするようなネジは着脱に要するトルクが大きく、プラスネジよりボルトにした方が作業性がよいことから工具はソケットと呼ばれるものが使用されている。
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(3)  ビット製作のポイント

最初に述べたようにプラスビットの先端はフィリップ・スクリュー社が作った規格に基づいて製作されている。これがただ“溝”を切っただけのマイナスネジと違うところである。このため、ビットを選ぶときには、何処まで規格に忠実に作られているかがポイントとなる。

強度だけを考えればネジ頭と同じくヘッダーで成型されたものがよいのだが、切削加工の方が作業性を向上させうる寸法精度は高い。但し、切削加工ではどうしても金属の繊維(ファイバーフロー)が断ち切られるためにヘッダー式に比べ強度の低下は否めない。しかし、ビットの耐久性能は材質の強度だけではなく加工精度や材質に見合った焼き入れ処理などのトータルなバランスが重要な要素と考えられている。
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(4)  市販手回しドライバーに見るメッキ仕上げ

市販品を比較すると、先端部分までメッキが掛かっているものと,先端部分だけメッキの掛かっていないものとがあることに気付く。これは、切削加工をしてからメッキを掛けているからであり,先端部分だけメッキが掛かっていないのは、メッキ層の厚さによる寸法精度の低下を避けるためで,あえて処理を省いているのである。
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(5)  ネジ頭リセスとのマッチング

材質や焼き入れ硬度の他にビットの先端で重要なのはネジ頭リセスとのマッチングである。ビットの先端をネジ頭のリセスにあてがい、軽く押さえたときにビットの先端が吸い込まれるように密着するのがベストである。押さえようとする前に底付きし、ビットを左右に回してみたとき遊びがあっては良いマッチングとはいえない。

またビットの先端形状を円錐台と考えた場合、ビットとネジ頭角は、円錐台の頂き面ではなく(ビット先端)斜面で接触するのがふつうである。ところが斜面が接触する前に頂き面がネジ頭のリセスの底に当たってしまうケースが見られる。このような場合の多くはビットの先端十字形状が小さく、かつ尖っているなどの原因が推測される。

またネジに原因を有する場合、ネジ頭のリセスはビットの先端と異なり切削加工ではなくヘッダー方式と呼ばれるプレス成形によって加工されているため、消耗度合いの大きくなった不適当なプレス成型パンチ使用した場合には下記のような不都合を生じ、結果として底付き現象となりうる。

寸法精度が落ちたり、底が浅くなっていたりする。

リセスが正しい形をしていても、底に異物がたまっていたりする。

★以上を持ちまして簡単ながらプラスのネジとビットを主とした普及背景とその機能・特徴についてのお話を終わります。今後はビットの専門メーカとして30年間培ってきた様々なうんちく話をたくさんご紹介していければと思っています。
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